はじめに
日本語を英語に翻訳する際、2つの方法があります。
抽象的な議論をする前に、実例を挙げて検討します。
例文
”生き残る一つのチャンスは、生きたいと願う彼女にかかっている。”
方法その1(『構造』中心型)
【日本語の構造】
まずは、日本語の『構造』を分析します。
“チャンスは(=S)”
“かかっている(=V)”
というのが、日本語の『構造』です。
【英語の構造】
次に、日本語の『構造』に対応する英単語を選択します。
“チャンス=A chance”
“かかっている=depend(s) on”
をここでは選択しました。
[ depend on ~]は、”~に依存している”、”~次第である”という意味です。
そして、英語の『構造』を考えます。
“A chance(=S) depends on(=V)”
【修飾関係を省いた最小限の文は?】
“「チャンスは」”
“「彼女に」”
“「かかっている」”
となります。
【最小限の文の英訳は?】
A chance depends on her.
となります。
次は、修飾語(句・節)を付け加えていきます。
【修飾語(句・節)の付加】
【生き残るチャンス】
「生き残るチャンス」というのは、「生き残る」が「チャンス」を修飾しています。
生き残るためのチャンスと考えて、
“A chance to survive”
とします。
【生きたいと願う彼女】
次に、「生きたいと願う彼女」は、「生きたいと願う」が「彼女」を修飾しています。
「生きたいと願う」は、[ want to live ]です。そうすると、[ her want to live ]となります。
ただ、文法的に、[ she wants to live ]は正しいですが、[ her want to live ]は間違いです。なぜなら、[ her ]は主格ではなく、目的格ですから。
この[ her ]と[ want ~ ]をつなげるには、[ to ]を使います。
her to want to live
です。
【完成】
修飾語(句)を『構造』に付加すると、完成した文になります。
A chance to survive depends on her to want to live.
となります。
方法その2(結合型)
【日本語の構造】
上記例文
“生き残る一つのチャンスは、生きたいと願う彼女にかかっている。”
を2文に分解してみます。
“(1)生き残るチャンスは、彼女にかかっている。”
“(2)彼女は生きたいと願っている。“
となります。
それぞれを英語に訳してみます。
【生き残るチャンスは、彼女にかかっている→英語】
(1)A chance to survive depends on her.
です。
【彼女は生きたいと願っている→英語】
(2)She wants to live.
となります。
(1)と(2)をつなげます。
【つなげる】
A chance to survive depends on she wants to live.
となります。
しかし、[ depends on ~ ]の[ ~ ]の部分は、目的語が来ます。「 ~に頼る」という意味ですから。
そして、目的語には、名詞(句・節)が来ます。
そうすると、[ She wants to live. ]を名詞(句・節)に変形させないといけません。
[ she ]の目的格は[ her ]です。
ですから、[ ~ depends on her ~ ]となります。
その[ her ]を修飾するものとして、[ wants to live ]をつなげる必要があります。
英語で「つなげる」単語は、[ to ]ですから、[ her to want to live ]とします。
[ to want ~ ]は、いわゆる「to 不定詞」ですから、[ wants ]の[s]は省かれます。
【完成】
A chance to survive depends on her to want to live.
となります。
まとめ
英作文の方法として2つ紹介しました。
まとめておきます。
【方法その1】
この方法は、SV(『構造』)を中心にして、修飾語(句・節)を付け足していく方法です。
オーソドックスな方法といえるでしょう。
このサイトでは、方法その1を便宜上【構造中心型】英作文と呼びます。
これに対して、
【方法その2】
この方法は、日本語を複数の文に分けた上で、その文ごとに英語に翻訳し、後で1文にまとめる(結合する)方法です。
まとめる際に、主格から目的格への変形等が必要になってきます。
このサイトでは、方法その2を便宜上【結合型】英作文と呼びます。
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